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老後資金は必要ない??現役FPが検証

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老後資金が本当に必要なのか疑問に感じている人

老後資金は必要ないと思っている人

金融庁が令和元年にまとめた「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」で発表されたモデルケースでは、老後資金が2,000万円不足するとも言われ、物議を醸しました。

報告書一部抜粋↓↓

「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では、毎月の不足額の平均は約5万円であり、また20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は、単純計算で1300万円~2000万円になる。この金額はあくまで平均の不足額から導き出したものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年齢別、男女別の平均余命などを参考にしたうえで、老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか考えてみることである。」

上記の報告を基にして今回は、

銀行で7年間勤務し、現役のファイナンシャルプランナーが、実際に老後資金が必要ないのかどうかについて考えていきたいと思います。特に年収600万円前後の方、必読です。

本当に5万円毎月赤字になるの?

まず、収支の平均値が5万円マイナスとなることについて見ていきます。

収入(年金)について

厚生労働省年金局によれば、令和4年度の年金受給額の平均は、厚生年金(第1号)144,982円、国民年金56,428円です。厚生年金の受給額は、保険料の納付月数や報酬月額から計算します。

そのため、厚生年金に長く加入している人や給与が多い人は、平均よりも受給額が多くなるかもしれません。

それに対し、国民年金の受給額は保険料の納付月数から計算します。つまり、収入は受給額に影響しません。ちなみに2024年4月分からの国民年金受給額は、満額の場合で月68,000円です。

支出(生活費)について

生命保険文化センターの調査によると、65歳以上の夫婦2人の老後生活の「最低日常生活費」は月平均して、23.2万円です。

 厚生年金、国民年金の合計収入が約20万円に対して支出の平均値は、23.2万円と約3万円毎月赤字となる見込みです。

あくまで「最低」かつ「平均」ですので参考値となりますが、ここに旅行や趣味、学業、交遊費等を多くしたいと考えると生命保険文化センターの調査によると、平均37.9万円の支出が上乗せされていきます。

いずれにせよ、平均値にはなりますが、マイナスになるということは変わりありません。

対策について

平均値についてみていただきましたが、対策はどのようにすれば良いのでしょうか。

再雇用制度を利用して働く

これだけで解決できれば問題ないのですが、、、

再雇用制度とは、定年退職した従業員を再び雇用する制度のことです。多くの企業で導入されており、特に日本では高年齢者雇用安定法に基づいて、希望する従業員に対して65歳までの雇用機会を提供することが義務付けられています。

再雇用制度の特徴

1. 対象者

• 一般的に60歳の定年を迎えた社員が対象。

• 勤務成績や会社の方針によっては65歳以降も継続雇用される場合があります。

2. 雇用形態

• 多くの場合、契約社員・嘱託社員・パートタイムなど、定年前と異なる雇用形態での契約となります。

• 労働条件は個別の契約で決まるケースがほとんどです。

3. 給与・待遇

• 定年前より低下するケースが多くあります(業務量や責任範囲が縮小するため)。

• 一方で、年金や退職金の受給開始を考慮しつつ働けるメリットがあります。

4. 勤務時間・業務内容

• フルタイム勤務ではなく、短時間勤務や柔軟な働き方を選べる場合があります。

• これまでの経験を活かしつつ、後進の指導や補助的な業務を担うケースが多くあります。

メリット

• 企業側:経験豊富な人材を確保できる、即戦力として活躍できるとメリットがあります。

• 従業員側:収入の確保、社会とのつながりの維持、健康維持にも役立ちます。

デメリット・課題

• 給与の減額によるモチベーション低下。

• 若手社員とのバランス(ポストや賃金格差の問題)。

• 企業の負担増(人件費や制度の整備)。

最近では、定年延長や定年制廃止を導入する企業も増えており、シニア世代の働き方の選択肢が広がっています。

ご注意!在職老齢年金について

在職年金老齢制度により、あまり稼ぎ過ぎると年金がカットされてしまします。

在職老齢年金制度とは、

60歳以降に老齢厚生年金を受け取りながら働く場合、「老齢厚生年金の月額」と「月給・賞与(直近1年間の賞与の1/12)」の合計額が50万円を超えると、年金が減額されます。

尚、老齢基礎年金は減額されず、全額受け取れます。2025年度の年金改革法案で、50万円から62万円に引き上げる方針にもなっています。

ですので、老後の収支があまりにもマイナスになってしまったり、ご自身が働くことにやりがいを感じて現役世代と同じくらい働きたいのであれば、無視して構いませんが、ゆとりある老後生活を営みたいのであれば注意が必要です。

重要なのは個人で老後資金について考える事

平均値について「赤字だ!」「マイナスだ!」と議論をしてきましたが、重要なのは、ワーキンググループの報告書にあった通りで、各々がいくら収入があって、いくら支出があるのかやそれに対応して、いくら貯蓄があるのか考えることが重要です。そのために現役世代からの収入がいくらあって支出がいくらなのか、ライフイベントがどのタイミングであって等「現状把握」と「未来の予測」を立ててそれに対応した施策をしていくことが大切です。

一人で考えるより、客観的にみてもらうことが重要

とはいえご自身の現状を変えたり、将来の予測を立てて、実際に行動に移すとなると気が思いやられることがあり、「浪費癖がやめられない」等人から指摘を受けないと直せないケースもありますし、そもそもどんなことが起こるのか予測を立てられない等個人で解決できないこともあります。

現役世代からの資産形成

再雇用制度を利用して働くことを対策の一つとして挙げましたが、一番良いのは、若いうちからの資産形成がオススメです。

とはいえ、何から始めればよいのか、どんな考え方で始めればよいのかわからないかと思います。

インフレについて

今後、益々インフレが拡大していきます。背景には、安倍元総理が打ち出したアベノミクスによるものが発端となっています。(以下MAG BOXILより一部抜粋)、アベノミクスでは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」から構成されていました。

第一の矢である、大胆な金融緩和政策では、市場にお金を投入することで、デフレを脱却しお金の流れを活性化させる金融緩和です。デフレの原因は、個人の消費活動の低下によるものだと考えました。そこで、国民がお金を手にできれば、消費活動の活発化につながります。

消費活動が活発により国としての税収が増え、結果的に税金を使って公共事業に投資できます。この繰り返しによって景気回復を狙った大胆な金融政策です。目標としては、消費者物価指数2%の上昇率を目指しています。

第2の矢は、機動的な財政政策です。財政政策は、政府が中心となって経済を変えていくというものです。
公共事業を増やし、それを民間の建設会社に依頼することで、建設会社が儲かる仕組みになっています。

これにより、建設会社で勤める方の給料が上がり、雇用が多く生まれることで消費の拡大が見込め景気が良くなります。この公共事業は東日本大震災の復興支援や防災対策を行い、国土強じん化が行われています。

第3の矢は、民間投資を喚起する成長戦略です。この政策は民間企業の活動をもっと自由にし、日本経済を成長させるものです。規制により新規参入が困難な市場に対し、規制緩和を行うことで新規参入の企業を増やします。これにより企業間で競争が起こり、より良いサービスや商品が作られ、世界に通用する企業に成長することが狙いです。

と、3本の矢について触れてきていましたが、押さえておいてほしいことは、消費者物価指数の上昇率の目標を2%としていることです。上記政策を逆に言うと、大規模な金融緩和政策を打ち出すことになるので、円の価値が2%ずつ低下していくと考えることができます。

保険等の外貨建て積立やNISA、iDeCo等を使った積立投資

アベノミクスによる物価上昇は、先程説明した通りですが、まずは、積立での投資から始めるのがおススメです。

貯蓄型の保険は、外貨建て商品の場合、運用利率が日本国債で運用するものよりも、利率が高いので検討の余地があります。またリスクがあるもののNISA、iDeCoも積立しながら、物価の上昇に追随していけるので資産形成には、効果的でしょう。

NISAやiDeCoは、配当金や分配金を再投資するかたちになるのですが、普通の積み立て投資であれば、配当金や分配金に対して約20%の税金が差引されますが、NISA、iDeCoであれば、税金が非課税となります。詳しくは、他の記事で詳細をまとめているものもありますので、そちらをご参照ください。

他人資本の有効活用

物価上昇していくことが今後明らかなのはわかりましたが、現物に投資するにも元手が足りない場合は、他人資本の活用つまり、融資等を活用した投資が有効的です。

日本で、個人の少額のフリーローンを除いて、融資を受けることができるのは、不動産のみです。不動産投資イコール怖いとなるのは、インターネットやYoutube等でよく目にしているかもしれませんが、よく勉強して対策を練れば、非常に有効な投資となるでしょう。

収入600万円手取り約480万円40代の場合

老後資金として3000万円は欲しいと考えていたとします。子ども一人、いたとして、年間の生活費は400~360万円かかります。間を取って380万円生活費がかかるとしましょう。

その場合、年間で約100万円貯めることができ、20年働いたとしたら2000万円手許に残ることとなります。残り1000万円を貯めるには、どのようにすれば良いでしょうか。

この場合、例えばですが、不動産投資を始めてみてはいかがでしょうか。

2000万円の物件を取得した場合、物価の上昇率が今後年2%続くとして、20年で約40%の上昇率が見込まれます。おまけに20年後となると、物価のローンの残債も半分を切っているので、手許に約1400万円(減価償却を加味せず、税金を考えると約1000万円前後)残る計算になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。この記事を読んで、老後資金は必要ないかどうかがお分かりいただけたでしょうか。結局のところ、ご自身がどんなライフスタイルを送りたいのかによって老後資金が必要ないかどうか決まります。再雇用制度を使って貯蓄続けるのも一つだし、不動産投資等でゆとりある生活を送りたい等様々ですが、どんなライフスタイルを送りたいのか、老後資金が必要ないかどうかわからない方も多いかと思います。そんな場合はぜひ一度ファイナンシャルプランナーにご相談ください。

ABOUT ME
杉谷友亮
Style lab 代表 大学卒業後、金融機関にて7年間勤務し、コンサルティングファームに入社。その後、独立し、ローンの借り換え相談、コーチング等を行った後、FPとしての活動を本格始動。 保有資格:AFP、証券外務員Ⅰ種 etc