最近、円安の進行に不安を感じている方が増えています。特に金融市場で注目を集めているのが「高市トレード」と呼ばれる動きです。これは、自民党総裁に選出された高市早苗氏の政策スタンスがきっかけとなって生まれた、市場の一連の反応を指します。高市氏は積極的な財政出動と金融緩和を志向しており、その期待感から株高・円安という流れが強まってきました。
一方で、「円安で物価が上がるのでは?」「これからの資産形成にどう影響するの?」といった声も多く、新NISAを活用して資産形成を始めたばかりの人にとって、何を信じてどう動けばいいのかが分かりづらくなっています。
この記事では、金融初心者やNISA利用者でも理解しやすいように、「高市トレード」とは何か、なぜ円安が進むのか、そしてどのような銘柄に注目すべきかを丁寧に解説します。政策・相場・税制の3つの視点から、あなたの資産を守り、育てるための戦略を紹介します。
1.高市トレードって何?投資初心者でも分かる政策と円安の関係
まずは「高市トレード」という言葉の意味から見ていきましょう。
「高市トレード」とは、2025年10月に自民党の新総裁として高市早苗氏が選ばれた直後から起こった、金融市場の特徴的な動きのことを指します。具体的には、以下の3点セットが同時に進行したことから、この名称がつけられました。
- 円安(為替が1ドル=153円前後に進行)
- 株高(日経平均が4万8000円付近まで上昇)
- 債券安(長期金利の上昇=国債価格の下落)
高市氏は、いわゆる「アベノミクス」路線を継承し、景気刺激を目的とした積極財政(公共投資や減税)と、金融緩和政策(低金利維持)を支持しています。こうした方針により、次のような市場の動きが予測されました。
- 財政拡張により景気が刺激される→株価が上がる
- 国債発行増により債券価格が下落→長期金利が上がる
- 日銀の利上げ観測が後退→円が売られる→円安が進む
このように、高市氏の政策期待により市場が一斉に動いたことが「高市トレード」の本質です。
なぜ投資初心者にも関係があるのか?
「まだ投資を始めたばかりだから、そんな大きな相場の動きは関係ない」と思う方もいるかもしれません。しかし、実際には新NISAの成長投資枠などを利用して株式を購入する際、こうした政策相場の動きは購入タイミングや投資対象の選定に大きな影響を与えます。
特に次のような場面では、「高市トレード」の動向を知っておくことで、投資判断の精度が上がるでしょう。
・円安で恩恵を受ける業種(輸出系、観光業など)への注目
・政策支援が期待できる分野(再エネ、インフラ、ITなど)への投資判断
・市場の楽観ムードに流されず、適正価格を見極める冷静な視点
さらに、為替が大きく動く局面では、投資先の企業の業績にも直接的な影響が出てくるため、為替トレンドを無視した運用はリスクにもつながります。
円安は悪いことばかりではない
投資初心者にとって、「円安」と聞くと「物価高で生活が苦しくなる」といったネガティブなイメージが強いかもしれません。もちろん、輸入品やエネルギー価格の上昇により生活コストが増える側面はあります。
しかし一方で、日本企業の多くは海外での売上比率が高く、円安は業績に追い風となる場合が多いのです。たとえば、トヨタや任天堂のようなグローバル展開企業にとっては、為替の影響が直接収益に結びつきます。
新NISAを活用して長期的な資産形成を目指すなら、このような「円安恩恵銘柄」を知っておくことは非常に重要です。

2.円安の今こそ知りたい!新NISAで得する銘柄の選び方
高市トレードによって円安が進行している今、投資初心者にとって最も重要なのは「どの銘柄に投資すべきか」という判断です。特に2024年からスタートした新NISA制度は、非課税枠を活用して効率よく資産形成を行う大きなチャンスです。
この章では、円安が進行する局面で新NISAを活用する際に注目すべき銘柄の選び方について、初心者にも分かりやすく解説していきます。
2-1.新NISAは「円安局面に強い企業」を狙える制度
まず、新NISAの最大の特長は、投資で得た利益が非課税になることです。2024年以降、成長投資枠とつみたて投資枠が統合され、年間360万円まで非課税で投資できるようになりました。特に「成長投資枠」では個別株式も購入可能で、円安トレンドに乗った銘柄に中長期的に投資するには絶好のタイミングです。
新NISAで銘柄を選ぶ際は、以下のような視点が大切です。
- 円安で業績が伸びやすい企業(輸出比率が高い)
- 原材料や人件費のコスト増を価格転嫁できる強いブランド力
- 政策的な後押し(補助金・税制優遇)を受けやすい業種
- 新NISA対象銘柄(上場基準を満たしている企業)であること
これらの条件に当てはまる企業は、今後の市場環境で優位に立ちやすく、非課税の恩恵も最大限に活かせます。
2-2.銘柄を選ぶ際に重視すべき業種とは?
高市トレードの影響により、円安+積極財政という構図がしばらく続く可能性があります。そのため、次のような業種・セクターに注目が集まっています。
① 輸出関連:自動車・電子部品メーカー
円安で最も直接的な恩恵を受けるのが、海外売上比率の高い大手企業です。たとえば、自動車メーカーは1円の為替変動で数百億円規模の利益変動が起こることもあります。これらの企業は海外販売が主力であり、円安になることで「売上の円換算額が増える」ため、株価にも好影響が出やすくなります。
② 観光・インバウンド関連:旅行・小売・ホテル
円安が進行すると、日本国内への旅行が「安く感じられる」ため、訪日外国人が増加します。これにより、観光地の宿泊施設、小売業、交通関連などが恩恵を受ける構図です。特に東京や大阪の高級ホテル、小売施設などは、今後インバウンド需要の拡大で業績改善が期待されています。
③ 政策支援関連:インフラ・再エネ・デジタル化
高市氏は再エネや防災インフラ整備、半導体支援などにも前向きな姿勢を示しています。こうした分野では政府の補助金や支援策の影響を受けやすく、株価の下支え要因となり得ます。
2-3.銘柄選定で避けるべき注意点
新NISAは非課税で魅力的な制度ですが、次のような点に注意が必要です。
- 一時的な相場の上昇に飛びつかず、中長期で安定成長が見込めるかを重視
- ネガティブニュースや政局の不安により、短期的な値動きに惑わされない判断力が必要
- 非課税枠は一度売却すると再利用できないため、慎重な銘柄選定が求められる
3.高市相場で上がる銘柄は?円安時代に注目の3社をFP視点で厳選
ここでは、新NISAでの運用にも適した「円安の恩恵を受けやすい企業」を3社、具体的に紹介します。それぞれ異なる業種から選出し、分散投資の観点も意識しています。短期的な値動きよりも、中長期的に安定した成長が見込まれる企業を選定しました。
① トヨタ自動車(7203)|日本を代表する輸出企業
言わずと知れた世界トップクラスの自動車メーカー、トヨタは、円安の恩恵を最も受けやすい企業のひとつです。
- 海外売上比率:約80%
- 1円の円安で営業利益が数百億円単位で変動
- グローバルなサプライチェーンと高いブランド力
2025年現在も、北米・アジア・欧州など主要市場で強い存在感を維持しており、エネルギー車(EV/HV)分野にも積極的に投資しています。為替感応度が非常に高いため、円安局面では業績にプラスに働きやすく、株価上昇が見込まれます。
新NISAでの長期保有対象としても人気が高く、初心者でも安心感を持って保有しやすい点が魅力です。
② 東京エレクトロン(8035)|半導体製造装置のグローバルリーダー
政策的支援を受けやすく、かつグローバル展開をしている代表的企業として、東京エレクトロンは外せません。
- 世界中の半導体メーカーに製造装置を供給
- 日本政府による半導体戦略の中心的存在
- アメリカや台湾企業との取引比率が高く、円安で競争力が向上
高市トレードで期待される「国家戦略に基づく産業強化政策」の中で、半導体分野は最重要分野とされており、同社の地位はさらに強化される可能性があります。日本株の中でも成長性と国際競争力を兼ね備えた優良企業です。
価格帯が高めなので、少額投資には向きませんが、分散投資やETF経由での保有も検討価値ありです。
③ 三越伊勢丹ホールディングス(3099)|インバウンド回復で脚光
円安が進むことで訪日外国人が増加し、その恩恵を直接受けるのが百貨店業界です。特に三越伊勢丹は、東京・新宿など外国人観光客に人気の高いエリアに旗艦店を構えています。
- 訪日客による高額消費(化粧品・ブランド品等)で売上増加
- 免税売上の回復が直近の業績に寄与
- 百貨店の高付加価値接客が外国人富裕層に好まれる
2024年以降、コロナ以降のインバウンド回復が本格化しており、円安が続く限り、この流れは加速する可能性があります。消費関連株の中でも“円安恩恵”が明確で、政策的にも観光産業振興が後押しされています。
〇銘柄選定のポイントを再確認
・海外売上比率が高く、円安の追い風を受けやすい
・政策との整合性があり、政府の後押しを受ける可能性がある
・中長期視点で安定的な業績成長が見込まれる
もちろん、すべての投資にはリスクが伴います。短期的な円高局面や政局の混乱などにより、一時的に株価が調整する場面もありえます。だからこそ、新NISAの非課税メリットを活かして、「少額でも長期的に成長が見込まれる企業」に投資するスタイルが重要なのです。
4.投資初心者がやりがちなNISA運用の落とし穴と対策
新NISA制度は、税制上のメリットが非常に大きく、投資初心者にとっても使いやすい制度設計がされています。しかし、制度が魅力的である一方で、初心者だからこそ陥りがちな“落とし穴”も存在します。
ここでは、特に新NISAを活用する際に注意したい3つの典型的な失敗パターンと、その対策を具体的に解説します。

4-1. 短期的な値動きに振り回されて売却してしまう
もっともよくあるミスが、「一時的な株価下落で慌てて売ってしまう」ことです。新NISAの最大の強みは、長期保有による非課税メリットにあります。一度売却すると、その分の非課税枠は再利用できないため、焦って手放すと本来得られたはずの利益を逃してしまう可能性があります。
たとえば、円高に振れて一時的に株価が下がったとしても、それが一時的な調整であるならば、長期的に持ち続けることで再び上昇の波に乗れることも少なくありません。感情ではなく「企業の本質的な成長力」で判断する姿勢が重要です。
4-2. SNSやYouTubeの情報だけを鵜呑みにする
SNSやYouTubeで情報収集すること自体は悪くありません。特に初心者にとっては入り口として役立つメディアです。しかし、そこで得られる情報はあくまで「誰かの意見」であることを忘れてはいけません。
投資判断は、必ず「自分の目的」「資産状況」「リスク許容度」に基づく必要があります。特定のインフルエンサーや解説者の“推し銘柄”をそのまま買うのではなく、一度はIR資料や企業の財務データを確認するクセをつけると安心です。
4-3. 分散投資をせずに一社に集中してしまう
「この企業は間違いない!」と感じて、NISA枠すべてを1社に投資してしまう例も見受けられます。しかし、たとえ優良企業であっても、外部要因や突発的な事件で業績が急落するリスクはゼロではありません。
そのため、異なる業種・異なる事業モデルを持つ企業へ分散投資することが、長期安定運用の鍵となります。先述の3銘柄のように、自動車、半導体、観光など分野を分けて保有することで、リスクを抑えつつ成長の恩恵を受けやすくなります。
まとめ:円安・政策・税制を活かす投資戦略
「高市トレード」によって円安・株高が進行する今の日本市場では、初心者にとっても大きな投資チャンスが広がっています。ただし、その波に乗るには、政策の方向性を理解し、円安の影響を読み、そして税制(新NISA)の仕組みを正しく活用することが求められます。
まず、政策面では、高市新総裁が掲げる積極財政・金融緩和路線が短期的な景気刺激をもたらしやすいことを意識しましょう。その恩恵を受けるセクターや企業を見極める力が、今後ますます重要になります。
次に、円安についてはネガティブな面ばかりに注目されがちですが、実は日本企業にとっては収益増の大きな追い風となることも多いです。海外売上が多い企業や、輸入価格の転嫁がうまい企業はむしろ円安で業績を伸ばす傾向があります。
そして最後に、税制としての新NISA。これは、非課税という最大の強みを生かして、成長する企業に対し中長期の視点で投資することで、効率的に資産形成を進めるための制度です。
今回紹介したような視点と知識をもとに、制度・相場・政策の「3つの追い風」を活用すれば、初心者でも無理なく堅実に資産を増やす道が開けるはずです。重要なのは、焦らず、確かな情報と判断力で自分に合った投資戦略を立てること。新NISAは、まさにそれを後押しする“土台”となる制度なのです。
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